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うむ。
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最後に、あの美しい赤ヒメジの群れである。これこそまさに海の極楽鳥だ。
古代ローマ人は、この魚一匹につき、一万セステルキウスも払ったという。
彼らは、これを生きたまま食卓におき、朱色から死んで蒼くなっていくのを、
残忍な目でながめたとのことである。
…
石垣を堅めるために、人柱と成つて、活きながら壁に塗られ、堤を築くの
に埋められ、五穀のみのりのために犠牲として、俎に載せられた、私たち、
いろいろなお友だちは、高い山、大きな池、遠い谷にいくらもあります。
…
白川の流の末、知恩院ちかきわたりに、一本橋とてかりそめに石を二枚計
りわたしたる橋を、祭の剣鉾をもちて夜半ばかり、夜わたりとてとほる事
あり
…
「生きることに疲れたりした女がその場所に近づくと、松の木ごとに、ひ
とかかへもある首のやうな形をした霊魂がぶらさがつてゐて、燐光を放ち
ながら、いつせいに呼びかけるといふ。もつとも二百年もまへの話だがね」
「もう残つてはゐないだろう。そのあたりにタンカー専用の岸壁ができて
ゐるらしい」
…
とても尋常ではいかん、と思って、もうただ、その一人行方の知れない、
稚ともだちばかり、矢も楯も堪らず逢いたくなって来たんですが、魔にと
られたと言うんですもの。高峰へかかる雲を見ては、蔦をたよりに縋りた
し、湖を渡る霧を見ては、落葉に乗っても、追いつきたい。巌穴の底も極
めたければ、滝の裏も覗きたし、何か前世の因縁で、めぐり逢う事もあろ
うか、と奥山の庚申塚に一人立って、二十六夜の月の出を待った事さえあ
るんです。
…
この詩句の意味はこうだ。あらゆる貯蔵庫のうち最も奥まったところにあ
る最後のワイン倉では、肉体のすべての線維に染み込むワインのお陰で、
魂は水晶と光線の結合、石炭と火の結合と同じような完璧な融合を実現さ
せた。またその融合は人間の認識を進歩させたにもかかわらず、自らが獲
…
見棄てられていると思いこんでいるひとが本を読むと、かれがめくろうと
する頁にすでにペーパーナイフがはいっていることにも、かれは心を傷つ
けられる。その頁さえがもはやかれを必要としていないのだ、と。
…
私のビリヤード台は、サンドウィッチ諸島を描いた本でいっぱいだ。壁一
面に、この題材に関するメモを鉛筆で書きつけた紙片が貼ってある。この
想像を絶するほど美しく、最高に風変わりで魅力的な民族の1つが住む土
地について学び、そのことばかり考えていた。
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