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川べりに棲息しつつ、江戸・明治・大正文化の残り香を追い求める日々。趣味は昼寝と散歩と蝉捕り。将来就きたい職業は箱屋か絵師か遊び人。
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出来る事なら京の町に、半年くらい隠遁したい。町屋の二階に間借りするのだ。毎日昼頃に布団から起きだして、狭くて暗くて急な階段を降りると、町屋の女将に「あら? おそようさん。今日は何処まで行かはるの?」とか声をかけられて、そして僕は「ええ、外で飯食うついでに友禅でも眺めて来ようかと思いまして。」とか言いながらぶぶ茶を呼ばれるのだ。そして茶を飲み干すとにわかに立ち上がり「晩飯までには戻りますから。」と女将に言い残し下駄を履き鳴らして町屋を出る。「お早う、お帰りやす。」そんな女将の声を背中で聞き流し、僕は京の町を歩き出すのだ。
最近もう一つばかり願望(妄想と宣うべからず)が出来た。今度は江戸の町。隠遁先は日本堤の東側、色街吉原のとある老舗の遊郭。仮に東雲楼とでもしようか。花魁目当てで登楼したは良いが、渋チンの懐と相談した挙げ句に断念。しかし諦めてなるものかと郭の遣り手に銭を握らせ、若い衆として花魁の世話をする事になる。そして暇を見つけては描いていた浮き世の習いが、ある日花魁の目に留まる。それからはもう、花魁を始め新造にまで「わっちを描いておくんなまし」とせがまれる始末。僕は快く引き受ける。そしてその勢いは波に乗り、他の遊郭にまで飛び火する。かくして僕は「郭の絵師」として、遊女達の艶やかな「こっち側の」人生を描き続ける。